非行

・非行は、児童・生徒が社会のルールに背く行為です。

・非行に至る児童・生徒は、虐待を受けている可能性があります。

・非行への支援は本人にとどまらず、背景要因となり得る家族への支援も含めて行うことが大切です。

非行と非行少年

非行とは、少年が社会のルールに背く行為であり、少年法第三条に触れる行為をした少年は「非行少年」と呼ばれ、家庭裁判所の審査に付することとなります。

少年法第三条に規定される非行少年とは、次の通りです。

〇犯罪少年:罪を犯した14歳以上20歳未満の少年

〇触法少年:刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年

〇ぐ犯少年:次にあげる事由があって、その性格または環境に照らし、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をする恐れのある少年

 ◆保護者の正当な監督に服さない性癖のあること

 ◆正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと

 ◆犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること

 ◆自己または他人の徳性を害する行為をする性癖があること

※非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜徘徊、その他自己または他人の徳性を害する行為をした少年(不良行為少年)を「非行少年」に含めることもあります。

非行少年の疫学とその対応

警察庁生活安全局少年課によると、平成27年における刑法犯少年の検挙人数は3万8,921人であり、平成16年以降減少傾向であることが報告されています。検挙された児童で最も多いのが窃盗犯、次いで粗暴犯となっており、不良行為による補導では深夜徘徊と喫煙が全体の約9割を占めます。
非行により児童自立支援施設に入所した児童に関する調査では、非行の背景に虐待がある少年は63.8%であり、保護者が虐待をする要因としてはDV、保護者の知的な障害、生活保護受給、保護者の精神疾患、保護者の養育能力の欠如、親子関係の不和が影響していたとされています (鈴木、2016)。
近年の非行の特徴としては、スマートフォンの普及により広く浅い交友関係ができたり、見知らぬ異性とつながり性交渉につながる等が挙げられます (新井ら、2016)。後者は、女児に多く、このことが思春期早期の妊娠につながり、困難な養育の状況から次の世代の虐待や非行へと連鎖していく危険性も指摘されています(Baba et.al,2014)。このような連鎖を防ぐためには、非行少年につながるような背景のある児童の情報を得た際には小さなサインを見逃さないことや、児童本人にとどまらず、地域の支援者ネットワークをつくり、家族を含めた支援をしていくことが重要です。 

参考文献

・新井清美、和田一郎、玉井紀子ら (2016). 研究5 非行児童とその支援の現状―児童相談所でのインタビュー調査からの分析―.平成27年度厚生労働省科学研究費補助金 総括・分担研究報告書.

・Baba,S., Goto,A., Reich M,R (2014). Recent pregnancy trends among early adolescent girls in Japan. The journal of obstetrics gynaecology research, 40(1), 125-132.

・警察庁生活安全局少年課 (2016). 少年非行情勢(平成27年1~12月).

・鈴木勲 (2016).研究3 児童自立支援施設に入所する非行児童の支援に関する研究. 平成27年度厚生労働省科学研究費補助金 総括・分担研究報告書.

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