パートナーとうまくいかない

・期待や理想からずれてゆくのは、「二人の責任」でしょうか?

・夫婦の仲が悪い場合、子どもへの悪い影響を与えてしまう可能性もあります。

・相手からの期待やあなたが感じる責任は、現実的でしょうか?

・お互いが心地よくいられるような境界線を意識しましょう。

・お互いを尊重できる関係の理想形は?問いかけて現実をみつめなおしてみましょう。

期待や理想からずれていくのか、「二人の責任」でしょうか?

子どもができ、生活が激変して関係が悪くなるとか、親せきや地域・職場など、外部の要求が夫婦に圧力となって、気づかないうちに険悪になっていくこともあります。二人の人格ではなく、育った環境や今暮らしている環境が強く影響しているのだとしたら、お互いを責めるのではなく、「どう乗り越えていくか」という視点でとりくむほうが望ましいかもしれません。

なお、パートナーが責任ある行動をとっていない場合は、これに当てはまりません。アルコール、薬物、ギャンブル、借金、不倫、DV、いきすぎたしつけ・・・これらは「夫婦で乗りこえる」範囲を超えていますので、専門家への相談が必要です。各テーマのページをご覧ください。

夫婦の仲が悪い場合、子どもへの悪い影響を与えてしまう可能性もあります

夫婦の仲が悪いと、バランスのとれた子そだてが難しく、子どもへの悪影響も知られています。たとえば、

・両親のどちらのいうことを聞くべきか。顔色をうかがい、いつも緊張している。

・すなおに愛情を受け入れられず、また、愛情を表現することが難しくなる。

・きょうだい間の喧嘩が絶えない。

・家ではいい子だけれど、外に出ると喧嘩をしたり、暴力を振るったりする(影で行くからじめる)。

・ 子どもが自信を持てず、よく失敗する。その結果、子どもが「僕 (私) 」のやればできるという感性が育ちにくい。

このような子どもへの悪影響を知っていても、理想的なふるまいをできないときもあります。親にだって感情があり、いろんな感情を体験するので当たり前のことです。自分の感情に対処しきれなくなって、夫婦関係がぎくしゃくしそうになったら、ぜひ、専門家の方に相談してみてください。専門家の力を借りて、話し合ってみましょう。何かを変えるときは、夫婦で同じ方向を向いて支えながら取り組んでいきましょう。あなただけの努力で、目の前のことを変えようとするのは、とても大変だからです。

「大切だから」・・相手からの期待やあなたが感じる責任は、現実的でしょうか?

パートナーからのあなたに対する期待は現実的でしょうか?自分にとって大切な人と親密になるほど、はじめは軽かった相手に対する期待が、強い要求へと変わっていきやすい傾向があります。時間がたつにつれて、自分の要求が通らないと、「愛情が足りない」「配慮が足りない」と、自分の期待応えていない相手が悪いかのように責める気持ちになっていませんか。最初は「○○してくれたらいいな」が、「○○してほしいな」に変わり、「○○すべきだ」というように口調が変わってきていたら、それは自分の意見を相手に押しつけようとしているサインかもしれません。相手のことを大切にしているどころか、自分の気持ちを相手に押しつけようとしてしまっているのです。

逆に、相手の要求を受ける方が「その要求にこたえることが当然。こたえることができないのはパートナーとして失格」と暗黙のうちに考えてしまい、自分の気持ちは二の次にして、相手に振り回されてしまうことはありませんか?相手の要求がどんなに非現実的なものだったとしても、自分の責任と感じてしまい、気持ちに余裕がなり、自分が置かれている状況を冷静に判断できなくなることがあります。

お互いが心地よくいられるような境界線を意識しましょう

「秘密は持たない」「信頼しているから、携帯を見るのも相手の許可はいらない」というように、「愛し合い、信頼していれば、ルールは要らない」という考えは危険です。このような関係は、だんだんこじれていき、支配する人と支配される人という、一方的で暴力的な関係にも発展しやすいことが知られています。誰にでもプライベートな境界線はあります。相手に自分のプライベートなところにふみ込まれた結果、不安になったり、みじめな気持ちになったり、自分の世界が荒らされたような気持ちになることがあります。

もしパートナーとの間にある境界線が、あなたが安心できるところにひかれていないのであれば、自分が安心していられる境界線の場所を伝えましょう。もし、その境界線の位置を尊重してもらえないのであれば、その方とのお付き合いをつづけるべきかを考えてみる検大切です。

また、パートナーにふみ込めない関係がつづいているようであれば、それも問題です。たとえば「仕事から帰ってすぐはイライラしているから、寝るまで一切話しかけないでほしい。」という要求が日常的にあったとしたら、それは、あなたにとって安心感を感じられない境界線が一方的にひかれているとも言えます。

押し付けにならない感情表現、感情を受け止めるスキルを身につけましょう

お互いがお互いを尊重するという関係は、自然に発生するものではなく、パートナーと2人で試行錯誤をくり返しながら、みつけていくことが必要かもしれません。

親密な関係だからこそ、適切な表現がむずかしいこともあります。相手を不安にさせたりせずに、自分の意見や考え、気持ちを表現できるようなコミュニケーションスキルを身につけ積極的に活用することが、2人の間でのスムーズなコミュニケーションに役立つでしょう。

お互いを尊重できる理想のかたちを探っていきましょう

2人にとってお互いが心地よくいられる理想の形は、2人で探す必要があります。片方の人だけが工夫しても効果がないこともあります。2人は異なる環境で生まれ育ち、経験を積み重ねてきました。感じ方や考え方、価値観などが違って当たり前なのです。その生まれも育ちも違う2人だからこそ、2人でお互いにとって心地よくいられる形を探すのです。

「あなたが安心できる暮らしは、どんな暮らしですか?」「子どもにとって良い暮らしは、どんな暮らしですか?」「今の二人は、お互いを尊重し大切にしているだろうか?」「5年後、10年後、今と同じような状態で一緒に暮らすことは現実的でしょうか?」

自分自身に問いかけてみましょう。あなたなりの考えが見つかるのではないでしょうか?

そして、パートナーにも同じことを聞いてみましょう。相手はどんな言葉を返してくるでしょうか? 片方が一方的に理想を捨てることなく、お互いを尊重して暮らしていくための前向きな話し合いができるでしょうか?1対1で穏やかに話し合いができそうでなければ、第三者に立ち会ってもらうなどの工夫も必要かもしれません。

お互いの価値観があわず、2人の距離をとることが安全という結論もあるかもしれません。人によっては、別居などを境に緊張がほどけ、冷静に話し合えるようになるカップルや夫婦もいますし、子どもがいる場合は、子どもへの接し方を考え直し、パートナーや子どもへの関わり方方を変える努力をはじめる人もいます。

なお、相手に対して不安や恐怖、どうにもならない無力さを感じるとしたら、「自分が受けているのは、ドメスティック・バイオレンス(DV)の一種かもしれない」と、専門機関に相談することを強くおすすめします。

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