子どもの精神障害

・精神障害に罹患している子どもを支援するためには、家族など周囲の人を支援することが重要です。

・子どもの精神障害はさまざまな要因を背景に生じうるものであり、生物学的過程と社会的・心理学的過程の相互の影響に着目する視点が大切です。

・虐待による精神障害の主たるものに、アタッチメントやトラウマに関する精神障害があります。

子どもの精神障害に対応する援助者の姿勢

子どもの行動などから精神障害が疑われる時、その子どもは何らかのストレス状況で苦しんでおり、かつ自分の力だけでは解決できない状況に陥っている場合が多いです。援助者は、子どもへの共感的な理解と、家族への支持的な関わりを大切にし、まずは本人と家族の治療動機を高めていくことが求められます。

子どもの精神障害は、原因論的にその要因・背景を見ていくと、身体因と心因に分けられ、さらに身体因は体質的要因と身体疾患と外傷に分けられます。体質的要因を内因身体疾患と外傷を外因と呼ぶこともあります。体質的要因には、遺伝要因や胎児期の要因。出産時の要因などがあります。身体疾患と外傷には、頭部疾患の他に、中枢神経系の感染症など後遺症として精神障害につながるものや、慢性の身体疾患などにより抑うつ症状を見せるものなどがあります。心因としては、気質的要因と環境要因があり、環境要因には家庭内における要因や学校・園での要因などがあります。

子どもの精神障害は多要因であり、上記のどれかひとつに原因を特定できるとは限りません。生物学的過程と社会・心理学的過程の相互の影響に着目する視点が必要になります。

精神障害と児童虐待

精神障害と児童虐待との関連を考える時、児童虐待の原因としての精神障害と、児童虐待の結果としての精神障害に分けることができます。加えて、精神障害が原因で児童虐待が起き、精神障害が重症化するというケースもあります。

援助者が、精神障害のある子どもに会う際には、虐待を受けている可能性についても、常に念頭に置くことが大切です。障害児は虐待を受けるリスクが高く(Sullivan & Knutson, 2000)、我が国でも同様の傾向があることも知られています(細川・本間,2002)。中でも、情緒障害や行動障害を持つ児童の虐待リスクが高いといわれています。

あわせて、援助者はまた、虐待を受けている子どもに会う際には、精神障害を発症している可能性にもを考慮する必要があるとも言えます。虐待に伴う精神障害として代表的なものとしては、反応性アタッチメント障害やPTSDがありますが、他にも様々な精神障害の可能性も想定する必要があります。なぜなら上述の通り、精神障害の発症要因は多様で、虐待はどの精神障害の原因にもなりえるからです(たとえば、心理的虐待による摂食障害など)。

診断においては、カテゴリーからディメンションへと考え方が変わってきており、障害間の連続性や、精神障害・病的パーソナリティ・正常なパーソナリティの連続性が注目されています。子どもは発達の途上にあることから、障害に対する柔軟・流動的な見方が求められます。

治療においては、障害の状況に応じて、心理療法と薬物療法を提供しますが、対象となる子ども・家族との十分な信頼関係が築けていなければ、効果は低いものです。子どもに特化した心理療法は種々研究されており、子どものためにプログラムされた認知行動療法(CBT)や遊戯療法(プレイセラピー)などがあります。また、家族療法も有効といわれています。

参考文献

・細川徹・本間博彰(2002)「わが国における障害児虐待の実態とその特徴」平成13年厚生科学研究報告書(第6/7)382-390.

・黒木俊秀・本村啓介(2017)「精神疾患診断のパラダイム・シフト」,『臨床心理学』99,金剛出版

・Ray, D.C.(2006)“Evidence-Based Play Therapy” in “Contemporary Play Therapy: Theory, Research, and Practice”Charles, E.(Ed.), Guilford Publications.

・山崎他編(2012)「改訂第2版現代児童青年精神医学」永井書店

。杉山登志郎(2009)「そだちの臨床」日本評論社

・Sulivan P.M., Knutson J.F.(2000)Maltreatment and disabilities: A population-based epidemiological study. Child Abuse and Neglect 24; 1257-1273.

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