重症心身障害

・重症心身障害児は、重度の身体機能障害と知的障害を持つ子どもです。

・医療的ケアが高度な場合、「超重症児」「準超重症児」と呼ばれる子どももいます。

・こうした障害をもつ子どもでは、障害のない子どもに比べて、虐待・ネグレクトの発生率が高いと言われています。

重症心身障児とは

日本では、1960年代より運動障害と知的障害が重複した子どもは、重症心身障害児(Severe Motor and Intellectual Disabilities: SMID)と呼ばれていました。1967年には、児童福祉法の改正に伴い、 重症心身障害児の入所対象が「重度の精神薄弱および重度の肢体不自由が重複している児」と定義されました。さらに、1968年には、大島は、重症心身障害児施設の入所対象選定基準として、身体機能と知能指数に基づいて分類する「大島の分類表(以下、大島分類と称す)」を作成しました。座位又は寝たきりの身体機能で、知能指数が35よりも低い場合、大島分類の1~4に当てはまり、これが重症心身障害児(SMID)の定義として現在用いられています。

 さらに、近年の医療技術の発展に伴い、身体機能や知能指数は大島分類1〜4は満たさないが、複雑な医療的ケアを必要とし医療的には重度な児が出現するようになりました。そのため1995年に鈴木らによって、「超重症児スコア」が作成されました。超重症児スコアは、医療・介護の内容を点数化したものであり、25点以上で超重症児、10点以上で準超重症児と定義されました。超重症児スコアは1996年から診療報酬に含まれ、入院時における医療的ケアが複雑かつ重度であるため、「超重症児加算」を算定できるようになっています。

重症心身障害児と児童虐待

米国で実施された疫学研究では、障害児(知的障害、学習障害、行動障害など)は非障害児と比較して、約3.4倍の虐待発生率を認めたと報告されています。国内では2000年に細川らが全国の児童相談所を対象に実施下調査では、被虐待児の7.2%が障害児であったという報告されているが、重症心身障害児を対象にした詳細な虐待の研究は乏しい現状があります。重症障害児並びに超重症児に対する虐待の実態把握に加えて、育児並びに介護負担が高い障害児を抱える家族に対するリスク要因のアセスメント、障害児のデイサービスやレスパイトケアなども含めた介護負担の軽減の取り組み、虐待予防の支援が必要です。

参考文献

朝倉 次 (2006). 「重症心身障害児のトータルケア 新しい発達支援の方向性を求めて」へるす出版

鈴木 康、田角 勝、山田 美 (1995). 超重度障害児(超重障児)の定義とその課題. 小児保健研究, 54(3), 406-410.

Sullivan PM, Knutson JF. (2000). Maltreatment and disabilities: a population-based epidemiological study. Child Abuse Negl. 24(10), 1257-73.

細川 徹、本間博彰.わが国における障害児虐待の実態とその特徴. 平成13年度厚生科学研究 (子ども家庭総合研究事業) 報告書 (第6/7 ) 382-390, 2002.

 

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