子どもが小さいうちは子育てに専念しないとダメなの?

○3歳児神話とは、「子どもが3歳になるまでは、お母さんが子そだてに専念しなければ、子ど
 もに問題が出てしまう」という考え方です。

○しかし、この考え方に対する科学的な裏づけはなく、厚生労働省も否定しています。

○愛情は、量より質です。保育園などのサポートを使って、お母さんが安心できる子そだてが大
 事です。

子どもが小さいうちは、子育てに専念しないといけないという誤解

 『3歳児神話』とは、「子どもが3歳になるまでは、お母さんが家庭で子そだてに専念しないと、子どもの成長に問題が出でてくる」という考えかたのことです。 新しく子どもをもったお母さんにとって、子どもが小さいうちは「仕事をしながら」「保育園やベビーシッターにあずけながら」の子そだてが「良くないことなのではないか」という心配のもとになってきました。

 

 たしかに子そだてにとって最初の時期は、子どもが「自分の生まれてきた世界が安心できて信じられる」という感覚(基本的信頼感)をはぐくむために、お母さんをはじめとする養育者との関係がとても大事になります。ですが、子どもの小さい頃に、お母さんが子そだてに専念しないと子どもに悪い、という科学的な理由はありません。

 

 たとえば、1998年に厚生労働省が出した報告書(白書)では、「3歳児神話に合理的な理由は認められない」として否定されています。お母さんが専業主婦のケースと働いているケースとでは、子どもの発達に、ちがいはないという研究もあります。それから、仕事をしながら子そだてをする場合、保育園などに子どもをあずけることが多くなりますよね。でも、保育園で過ごす時間が長い子と短かい子をくらべても、子どものコミュニケーションや運動能力に、ちがいはないという報告もあります。つまり、愛情は量よりも質なんです。

 

 むしろよくないのは、お母さんがひとりで子そだてをかかえこんで、さまざまなタイヘンさがあるにもかかわらず、だれともつながれなくなってしまうことです。 白書には、こうも書かかれています。 ―保育所や地域社会などのささえも受けながら、多くの手と愛情の中で子どもをはぐくむことができれば、母親がだれにもたよることができずに子育そだてするより、子どもの健全発達にとっても望ましい― お母さんだけががんばるのではなく、お母さんへの十分なサポートがあってこそ、子どもも安心して育ってゆけるのです。

 

<参考文献> 
厚生労働白書(平成10年度版)第2章  http://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1998/dl/04.pdf 

→58ページに、3歳児神話について書かかれています。

カテゴリー:子育ての基本的なこと

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