支援者用アプリとは

本アプリケーションは、児童虐待の早期発見と予防のための1つのツールとして開発されました。本アプリは、次のような機能をもっています。

子ども虐待リスク評価システム

プロジェクトの研究1、2の成果を応用したシステムです。このシステムでは、児童相談所や各自治体における児童虐待事例の初期対応時に、アプリ上の画面でいくつかの項目に答えることにより、児童虐待のリスクの評価を行うことができます。また、児童虐待事例のデータベースを多角的に解析したエビデンスに基づく客観的なリスク評価の材料を得ることができ、児童虐待が疑われるケースの重症度判断と深刻なケースが見過ごされることの予防に役立ちます。さらに、このアプリを利用することで、経過予測と対応の検討を効率的に行うことが可能になるとともに、アプリ画面に表示された情報を支援者間で共有することで、情報の共有がこれまで以上にスムーズになることが期待されます*1

このシステムは、実際の乳幼児健診の調査から得られた成果にも基づいています。養育困難は、児童虐待発生の要因のひとつと考えられており、このような状況では予防的な対応が重要とされています。このシステムを利用することで、養育困難の実態把握と早期発見に役立てることができます*2

 

*1事例に関するデータが外部に流出するリスクを防ぐため、本アプリはネットワーク接続しない設計になっております。ここでいう情報の共有とは、対面で検討するような限定的な場面で、アプリの情報を対面で共有していただくことを想定しています。ネットワーク接続を介して遠隔的に情報を共有するような利用方法は想定していません。

*2ただし、本アプリケーションが表示する結果は、限られた情報によって算出される結果です。最終的な判断は、事例を総合的に評価する必要がございます。

子ども虐待関連の情報提供

児童虐待事例で考慮しなければならない項目は多岐にわたりますが、重点的にチェックすべき支援のポイントは、事例によって異なります。このシステムは、児童虐待事例に関連する項目を網羅的にまとめています。必要に応じて関連項目をすぐに画面上に表示させることができます。たしかに児童虐待に関連する文献やマニュアルはたくさんありますが、児童福祉施設や一時保護施設、学校などで検討する際に、膨大な量の紙の文献やマニュアルから必要な情報を抜き出すことは、簡単ではありません。一方、このアプリでは、アプリ内にまとまっている情報を検索すれば、その結果や関連項目の表示が即座にできます。事例検討を行う際に、このようなアプリの特徴を活用することで、援助職の方の経験やスキルにばらつきがある場合でも情報共有がしやすくなるとともに、適切な判断材料に基づく対応が可能になります。

 

本アプリケーションの使用方法、実際の導入について

利用していただける方

子育て支援や虐待予防に関わるベテラン支援者の方はもちろんですが、特に支援経験が浅い方に最適です。次のような場所で使っていただけます。

 

市区町村の子育て支援や虐待の可能性がある家庭に関わる機関・部署

都道府県の子育て支援や虐待の可能性がある家庭に関わる機関・部署

保育所

各種学校

児童養護施設等の社会的養護関連施設

児童発達支援センター等の障害児関連施設

親支援を行っている民間団体等

使用方法

タブレットにアプリをインストールしてお使いいただきます。タブレットの画面をタップする操作がほとんどですので、はじめての方にも簡単にお使いいただけます。また、随時研修会を実施しますので、具体的な使い方や実際の支援の事例などと合わせてご検討されたい場合は、ぜひ研修会にご参加ください。また、新しい研修会の企画や実施につきましてもご相談いただけます。